仮想通貨のビジネス利用入門。導入領域や法人税の検討まで

“完全な P2P 電子通貨の実現により、金融機関の介在無しに、利用者同士の直接的なオンライン決済が可能となるだろう。”

– サトシ・ナカモト

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はじめに

2009年に世界初の仮想通貨Bitcoinネットワークが稼働してから、すでに10年以上が経ちます。

度重なる巨額の仮想通貨流出事件や詐欺、さらに先端技術を利用した難解な仕組みもあり、「仮想通貨は怪しい」とみなされた時期もありましたが、一方で仮想通貨をビジネスに利用しようという法人も出てきています。

本記事では仮想通貨とは何かから始め、法人でどのように利用できるのか、注意点も合わせて説明します。

2019年5月に改正資金決済法と改正金融商品取引法が国会で可決し、「仮想通貨」から「暗号資産」に呼称が変更されましたが、依然「仮想通貨」という用語も使われるため本記事では「仮想通貨」と表記します。

Step 1 仮想通貨を理解する

日本銀行は仮想通貨について「インターネット上でやりとりできる財産的価値」とし、資金決済に関する法律に基づき次の三つの性質を持つものとしています:

  1. 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
  2. 電子的に記録され、移転できる
  3. 法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

(出典: 暗号資産(仮想通貨)とは何ですか? : 日本銀行 Bank of Japan)(*1)

時価総額の多い代表的な仮想通貨として、Bitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Ripple(リップル)などがあります。

仮想通貨の時価総額や価格推移、取り扱い取引所についてはCoinmarketCap(*2)が参考になります。

CoinmarketCapを見てみると有名なものから無名のものまで、無数の仮想通貨が存在することがわかります。

世界初の仮想通貨であるBitcoinは、リーマンショックがおきた2008年に謎の人物ナカモトサトシが簡潔な論文で提案したもので、2009年にネットワークが稼働しました。

Bitcoinはブロックチェーンをはじめとする多くの技術が重なり合い生まれたイノベーションで、その非中央集権型の性質から、世界中の誰もがアクセスが出来ながら、誰もが改ざん出来ない中で、ユーザー同士直接お金のやり取りを可能にします。

このやり取りに国家や銀行を介する必要はありません。

Bitcoinに続いてさまざまな仮想通貨が登場し、2017年の後半には大規模な仮想通貨バブルが発生するまでになりました。

バブルは間も無く崩壊し、仮想通貨に対する一般の利用者の興味は薄れましたが、その間にも特に仮想通貨を支えるブロックチェーンは金融業界以外にも着実に導入が広がっています。

Step 2 仮想通貨をビジネスで利用する

仮想通貨の魅力を企業の視点で見ると、送金手数料の安さと送金スピードが挙げられます。

国際送金では間に中継銀行が入り、手数料が高額になり、送金に数日かかることもあります。このような問題に対して、銀行送金法定通貨の国際送金を迅速かつ格安で扱うサービスTransferwise(*3)が登場し、世界的に利用されていますが、仮想通貨を使っても同様に迅速な送金が可能です。

場合によっては手数料をより安く抑えることもできるでしょう。ただし、仮想通貨は価格が大きく変動することがあることは知っておかなければなりません。

そのほか、仮想通貨は実店舗やインターネットショップでの決済にも利用できます。

一部の家電量販店などが外国人観光客をターゲットにBitcoinによる支払いを受け付けています。現地通貨を引き出したり、両替をしたりする手間を省けるのは外国人観光客にとって大きなメリットかもしれません。

ただし、クレジットカードにも同様の効果はあります。仮想通貨の決済を受け付ける場合には、なぜあえて仮想通貨を利用するのか十分考える必要があります。

Step 3 仮想通貨の取引所を活用する

海外では国内に先駆けて実店舗やインターネットショップがBitcoinを受け付け始めました。

大手企業の事例としては、Microsoftや世界最大の旅行会社Expediaがその典型です。

ただし、2014年という早期にBitcoinの受付を始めたExpediaはその後、決済手段として広く普及しないことや価格リスクを理由に受け付けを停止しました。

一方で、キャッシュレス決済大手のSquareのCashAppと呼ばれる送金アプリ(*4)では、Bitcoinが収益の半分を生み出すまでになり(*5)、個人間送金や小売利用の拡大が期待されます。

国内での事例としては、ビックカメラが大手取引所bitFlyerのシステムを利用して、Bitcoinでの支払いを受け付けています。

試験導入のあと、ビックカメラは決済可能額を10万円から30万円に引き上げ、全店舗でBitcoin決済を受け付けるようになりました。ネットショップでは決済限度額10万円でBitcoin決済を受け付けています。(*6)

Bitcoinは未だ主な決済手段ではありませんが、ビックカメラでは多様な支払い手段を早期に導入してきた経緯があり、Bitcoinもその中のひとつとして導入されたと考えるとよいでしょう。

仮想通貨決済は大手企業でなくても利用できます。

Bitcoinのシステム上は、ウォレットを作ってBitcoinを保有してさえいれば、そのウォレットに対して顧客が送金を行い決済が可能になります。

ただし、着金までに10分またはそれ以上かかる可能性があること、Bitcoinのレートが大きく変動することから、多くの事業者はBitcoinのシステムをそのまま使うのは難しいのが現状です。

そこで、前出のbitFlyerはBitcoinを個人や企業が扱いやすくするシステムbitWire SHOP(*7)を提供しています。

bitWire SHOPは簡単に登録でき、初期費用や月々の費用は無料で、決済手数料も1%と従来のキャッシュレス決済の手数料よりも定額に抑えられています。

また、受け取ったBitcoinは自動的に売却されるため、価格変動リスクを負う必要がありません。

Step 4 仮想通貨の法人税・税的メリットを理解する

仮想通貨を直接受け取る場合には、税務処理などに通じている必要があります。

ここで仮想通貨の税制を見ていきたいと思います。

仮想通貨の価値が上がった際の売買による利益(キャピタルゲイン)は、税制上「雑所得」に分類されています。これは個人の場合、所得税、住民税と合わせると最大で55%まで税金の支払いが必要となります。

一方、法人税の場合25%程(利益・売上によって異なる)が上限となるので、その他事業税、住民税を加えたとしても、利益が大きくなればなるほど法人の方が税制的には有利になります。

Step 5 仮想通貨利用における注意点を理解する

仮想通貨をビジネスに利用する際には気をつけておきたい点があります。

ここまで見た通りBitcoinのレートは常に乱降下を繰り返しているので、現状投機目的以外では、ビジネスの決済などに使いやすいとは言えないでしょう。

仮想通貨を理解しているビジネスオーナーの場合、Bitcoinなどで売上を立てて、長期的な資産運用に回すなども考えられますが、相応のリスクがありますので、まずは仮想通貨の理解を深めることをオススメします。

価格変動の大きさや送受金にかかる時間の問題は、取引所が提供するサービスである程度解消することができるようになりました。

しかし未だ決済目的で利用する人は少なく、そもそも何のために仮想通貨を導入するのか、導入の目的をはっきりさせておく必要があります。

おわりに

Bitcoinの誕生から10年以上が経つとはいえ、仮想通貨はまだまだ発展途上の分野です。

逆にいうと、大きなビジネスチャンスとなる分野でもあります。仮想通貨をビジネスで利用する際には、なぜ仮想通貨を利用するのか、既存の手段に対する優位性は何なのかを十分検討した上で、必要に応じて専門家や管轄の省庁に問い合わせをし、ビジネスを構築していくのが賢明といえそうです。

*1 https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/money/c27.htm/ 

*2 https://coinmarketcap.com/

*3 https://transferwise.com/

*4 https://cash.app/

*5 https://www.coindeskjapan.com/40870/ 

*6 https://www.biccamera.com/bc/c/super/okaimono/oshiharai/oshiharai/#bitcoin 

*7 https://bitflyer.com/ja-jp/corporate/bitwire-shop

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